症状① 幻覚と妄想について
幻覚とは、実際にないものを感覚として感じられること。統合失調症で最も多いのは聴覚の幻覚(幻聴)で、批判的・命令的に聞こえ監視されている感覚があります。
実際の声とは区別できない場合が多く、直接頭の中に聞こえる感じで声そのものよりも内容ばかりがわかることが多いようです。
幻聴に聞き入ってニヤニヤする空笑、幻聴との対話でブツブツ言う独語が見られます。
妄想とは、明らかに誤った内容を信じてしまい周囲の訂正が受け入れられない考えのことです。迫害・関係・注察・追跡といった被害妄想や、考想化声・作為体験・思考伝播など誇大妄想のことです。
幻覚や妄想は、奇妙に思われその苦しさを理解してもらいにくいものです。
また、自分が行っているという感覚が損なわれてしまうこと(自我障害)が症状の背景にあると考えられます。
幻覚と妄想は、人間関係が主題となっていたり、大切に考えていることに劣等感を抱いていたり、気分に及ぼす影響があり、無視・放置できないものだったりという特徴があります。つまり、本人の価値観や関心と関連しており、否応なく引きずり込まれるように感じるのです。
従って、幻聴や妄想に従った行動に走ってしまい、「本当の声でない」「正しい考えでない」との説明が信じられないのです。
次回:症状② 生活の障害・病識の障害